今日はレソト出国の日と決めた。
ここでポニートレックする予定はなかったのだけど、
みんなと一緒に連れて行ってもらうことに。
インド、ネパールと続き三回目。
だんだんと慣れてきたし、ここの馬は乗りやすい。
往復3時間。本当にのどかな田園地帯。
馬から降りて、徒歩で渓谷を下る。
ブッシュマンの壁画を三つ見る。
おとといも見たのであまり感動なし。
でも、行ってよかった。
ツアーとしてはなかなか出来たものだった。
ロッジに帰ってからは日向ぼっこ。
天気がいいので5人でまったりしてたら、
警官と名乗る怪しいサングラス男現る。
妙に馴れ馴れしいと思ったら、
僕をマセルのボーダーで見かけたらしい。
ケープの美容院でやってもらったブレーズは、
特に黒人には受けがいい。
3時過ぎになってしまったので、
今から南アのブルームフォンテンに向かうと、
到着するのが夜になってしまう。
さすがに危ないので、みんなの言うように、
マセルまで一度戻ることにする。車で送ってくれるって、最後の4人旅行なのに言ってくれて。
でも、悪いと思いつつ優しくされると甘えてしまう僕。
マレアレアを後にして走る砂利道に、ふと看板が。
世界各地までの距離。
東京までは10000km以上ある。
陸路で来た人達は、これを見て何を思うのだろうか。
そんなこと考えてたら、
これはもうちょっと旅を続けてみたくなった。
ワガママばかりで本当に申し訳ないのだけれど、
モツォカで降ろしてもらった。
急に一人になったので寂しくなったけど、
気を取り直してヒッチハイク。
なんと一台目でジープが止まった。
なんてツイてるんだろって思ったら、
車体にPOLICEって書いてある。。。
ってさっき会ったお巡りさんじゃーん。
彼は快くマフェテンまで乗っけてくれた。
ボーダーまで行くって言ったら、
政府関係のジープに乗っけてくれて、
一緒に連れて行ってくれた。ありがとー。
レソト出国。そして南ア入国。
3ヶ月のビザもらえるかどうかは、
もちろん入国審査官しだい。
マセルのボーダーは結構大きくてしっかりしてたから
不安だったので、
わざわざこの小さいボーダーを選んできた。
けど、小さいとはいえゲートもちゃんとあり、
ネパールとかよりは厳しそう。
日本人はあまりこのボーダーにこないらしく、
審査官は日本人の入国規定をPCで検索していた。
そのおかげで、みごとに3ヶ月分、ビザゲット!!!!
まじで嬉しい。
もし、これできなかったら、
またどっかの国に行く羽目になったから。
喜びも束の間。時計を見ると5時を過ぎている。
運良くブルームフォンテン行きの
満員のミニバスに乗りこめたものの、
向こうに着くのは、夜になるだろう。
沈む夕日を見た。
太陽が赤く赤く炎上しながら地平線へと落ちる。
この日、世界に光をもたらした太陽は、
すべてを赤く染める。自身を業火につつみながら。
人間には為すすべがない。
ただ息を呑み、立ちつくし、見つめるしかない。
その存在をいっそう増した最後の光が消えると共に、
世界は闇に包まれる。
世界の終焉。
世界を舞台にした誕生と終末のこのドラマは
毎日繰り返されている。
僕らが、得たいの知れない実体のないツクリモノの世界に
魅了されている時代でも、このドラマは繰り返される。
僕らがそれを無視しようと、忘れようとも。
てな風に感傷的になってるのは、
ブルームフォンテンに着くのが本当に怖いからだと思う。
往路で通ったブルームフォンテンは
危ないことは特にはなかったものの、
街の雰囲気が好きになれなかった。
イギリス統治下の古い建物が所々に残る、
のどかな街のその影には冷たさを感じた。
猥雑としたバスターミナル付近が、
夜にはスラムと化すことは想像に難くない。
盗られてもよいモノと
絶対に守りたいモノとを分ける作業をするのは、
何度しても気持ちよくはないもの。
この旅で撮りためた
写真のメモリースティックを懐深くに入れ、
見せかけの貴重品入れとなるヒップバックに
鍵をかけたところで、バスは駅前に到着した。
藁をもつかむ思いで頼んでおいたミニバスの運転手は、
周囲を気にしながら、僕をタクシーへと案内してくれた。
白タクだけど仕方ない。
駅前でバックパック抱えてうろつくよりはマシ。
意外にもタクシーは僕を安全に
長距離バスターミナルへと運んでくれた。
緊張が解けた瞬間、いっきに疲れが襲う。
ケープタウン行きのバスは一日一便。
けど、時刻はわからない。
今日の便が終わっていたら、
ここで泊まらなければならない。
またホテル探したり、そういう苦労はもうたくさんなの。
とりあえず、インターケープのカウンターへ。
今日のバスは2時間後の夜11時らしい。
そして空席あり。なんと最後の一席。
これで今日ケープに帰れる。
なんかわからないけど、まじで嬉しかった。
聞いた瞬間、叫んだもん。
インターケープの異様に暑い車内で
夜通し眠れずにケープへと向かう。