イマサラながらに河口慧海を読む。
戦前日本にこんな奇特な方がいたものだと、
ただただ感嘆するばかりである。
真言宗のお坊さんで、中国経由で伝えられた仏教に飽き足らず、
真の経典を求めてチベットへ旅立つ。
日本を出て、インド、ネパールを経てチベットへ。
カトマンズからラサまでは距離にして1000km。
現在のルートでも途中5000mの峠を越える。
あの荒涼とした大地を、じっとしているだけで頭が脈打つ程の高高度下を、
鎖国中のチベット。
外国人に道は閉ざされていたため、
河口慧海は、道なき道を歩いて進む。
100年前。
やっぱり名声のために冒険家は生まれないのだな。
そして現代。
日本から2週間かけ。へとへとになり僕がたどり着いたラサは。
ポタラ宮の前にはアスファルトの道路。
その歩道からポタラ宮をファインダーで捉えると、
居なくなって久しい主の代わりに中国語の横断幕が。
本のなかのチベットとは違い、
痛々しい程に、変わり果てた姿ではあるけれども。
そこは慧海の目指した天竺なのだ。

